死んでから見つけてください

まだ生きてるけど

死にたい季節

人混みが好きではないから、なるべく下を向いている。エスカレーターに上手くなれるように、下を向いている。すらりとした生足に目を奪われ、頭を上げる。すると、私が身につけたくて身につけられない、ミニスカートに包まれたお尻と出会う。羨ましさよりも、綺麗な脚だなぁという感想がまず浮かんだ。ツンとしているが不快ではない、人工的な匂いが鼻につき、さらに上を見ると、ミニスカートのボーイフレンドと思われる外国人がなにやら熱心に話している。ミニスカートは肩より下まで伸びた髪を指でくるくるしている。外国人はミニスカートを愛おしそうに見つめている。私とミニスカートと外国人は次のフロアに到着し、同じ方向へ進み始める。繋ぐことが当たり前かのように差し出された右手を、さも当たり前のように、ミニスカートが握り返す。クレープを分け合う高校生より、別れを惜しむように駅で密着する男女より、こういう光景が、私をやるせない気持ちにするのだ。寂しい頭のわりに立派なコートに身を包んだおじいちゃん、せかせかとユニクロを歩き回る、昼休憩と思われるサラリーマン。