死んでから見つけてください

まだ生きてるけど

スーパードライ

電車から見る都会が好きだ。ここに来なかったら、きっと好きと思わずに見過ごしていた。

通り過ぎていくたくさんのマンションが好きだ。お昼に溶け込むラブホテルを見るのが好きだ。等間隔にあるマクドナルドが好きだ。何百、何千の暮らしを、すごい速さで眺めるのが好きだ。大きなマンション、同じ幅で同じドアが並んでいる。クリスマスリースがぶらさげてあるドア。虫取り網が近くにあるドア。母親と子供がドアに手をかけて消えていった。隣の小さくて、狭そうなアパートには、ボロい階段を登る男女がいて、どっちも悲しかった。いつか私も大きなマンション、それか一軒家に住みたいな、壁の薄さに悩まなくていい日は来ますか、さみしいな、大人数でいると、自分の輪郭がぼやけて、たのしいのに楽しくないです、わたしってもう本当のこと言いすぎてなにが本当のことなのかわかりません、本当に好かれたい人には好かれなくて、嫌いなら嫌いと教えて、たった数秒で悲しくなる才能があります